正に神業 青森県が命を吹き込んだ新サーモン

萩原章史 男の料理

青森県十和田市の青森技研内水面研究所を訪ねました。

少し早く着いたので、研究所の周辺を歩いて回ると、そこには驚くべき光景が広がり、空気も大きく変わりました。

三つの神社と巨大な岩(御神体)

巨岩の下から湧き出す白上の名水


巨岩を御神体にしているのは稲荷神社
もう一つは金刀比羅宮
これは奥入瀬川の川漁師たちが舟の安全を祈願したと思われます。

もう一つは漁協が建立した奥入瀬神社
鳥居の先は神域に違いなく、流れる空気が違います。

神域からこんこんと湧き出る白上(しらうえ)の名水。
年間通じて低温の安定した清水が内水面の魚種を生み出しているのです。
神業だ・・・

今年、新たに生まれたサーモンの血は、大正2年に北米から導入された青森系ニジマスを母に、平成7年にこの研究所で開発された海水耐性系ドナルドソンニジマスを父に持つ大型のニジマス。
大きい個体は8.5kgまで成長するそうです。
残念ながら、その場での試食はできなかったけど、神の水が育んだ血統
間違いなくうまいはず。


養殖技術部長の前田さんが案内してくれました。

研究所のある三本木原台地は豊穣の土地ですが、江戸末期までは水がなく、度重なる飢饉で疲弊していた不毛な台地でした。
台地は20万年間の度重なる十和田湖の大噴火で形成され、御神体の巨岩は大噴火による十和田湖からの土石流で運ばれたものです。
その規模の噴火は東北全域を壊滅させるほどの規模だったと推測されます。

古の住民はアイヌ系と考えられています。
白上(しらうえ)は「しらうい」※アイヌ語で大きな石があるところ、または、「しらおい」※アイヌ語で魚がたくさんいるところ、とされています。
縄文時代は今よりもずっと温暖だったので、山背も厳しくなかったでしょう。

壊滅的な大噴火により運ばれた巨岩から湧き出る神水!
不思議な力が宿っています。

養殖場にはイトウとニジマスのハーフもいました。顔が怖い!

明治34年に設立されたこの歴史ある施設。
実は十和田湖のヒメマスもここが発祥の地。
ヒメマス養殖に成功した、秋田の和井内貞行にヒメマスの稚魚を分け与えたのはこの施設です。

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