55歳でリフォームしてわかった リフォームの神髄
新築の一戸建てやマンションの売買は、売る側からすれば、家を欲しい人にセールスすることで、買う側からすれば、家を売りたい人から好みの物件を買う行為だ。
ところが、リフォームは建築施工という意味では物理的にほぼ同じだが、その意義は全く違うと言っても過言ではない。
※壊れた機能を直す工事は修理(リペア)で、リフォームとは別。
先ず、住宅リフォームは、ライフスタイルや家族構成の変化が伴っていることがほとんどのはず。
かつ、一般的に考えれば、50歳以上のおとなのプロジェクトだ。
若い人が部屋をいじるレベルは、おとなのリフォームとは区別したい。
子どもが独立、親が要介護、相続税対策、等々、明確なきっかけがあるリフォームは多いが、それはきっかけであって、本質的には、夢や未来の楽しい日常生活実現の舞台作りが、おとなのリフォームだと思う。
50歳以上でも、住環境に投資できる経済的な裏付けがあり、今さら住宅ローンを組むケースも少ないだろう。
つまり、最初の住宅取得と比べると、やりたい事をどう実現するかが重要で、かつ、リフォームの施主は未来のキャッシュフローに自信があるのだから、一度で終わりではなく、何度もリフォームする場合も多々あるだろう。
結論的には、物質的なリフォームと心や行動のリフォームがセットでないと、リフォームは不完全なものになってしまう。
もちろん、新築でも心や生活のリセットはできるが、リフォームは設計と施工の前提条件が固定化されているのと、残された人生がある程度の確度で読めるので、残りの人生とリフォームは、具体的かつ密接な関係を持たざるを得ない。
特に高齢者が住み慣れた場所を離れる引っ越しは、一般的には余命を短くすることがわかっているので、引っ越しよりもリフォームが良いと考えるのは当然だ。
結果として、素晴らしいリフォームのプロデュースする人間は、単なる設計者ではなく、施工者でもなく、施主の残りの人生をプロデュースするくらいの、想像力と利他の精神が必要となる。
つまり、施主の残りの人生をハッピーにする舞台づくりに、生き甲斐を感じて、一緒に未来を具現化する感覚が重要となる。
さらに、リフォームの場合、工事中の仮住まいも必要となるから、工程管理も気配りが必要となる。
「素晴らしいおとなのリフォーム」はまさに空間創造の匠の技が必要となる。