百五十年前 明治政府の神仏判然令で抹殺された
疫病を制御する最強の神 牛頭天王(ごずてんのう)
インドから?中国から?渡ってきた牛頭天王は
日本各地の八百万の神や仏と習合し
疫病に苦しんでいた庶民から、絶大な信仰を集めた
疫病を流行らすことができる牛頭天王を慰撫し、崇敬することで
疫病を防ぐ神、疫病を除く神として、祀り奉っていたのだ
その典型が京都の祇園社(現・八坂神社)
神社名は変われども、今でも牛頭天王を祀る神社数は祭神種類で7番目
(八幡、伊勢、菅原道真、稲荷、熊野、諏訪、そして牛頭天王)
明治になり、天皇中心の国家神道を築こうとした明治政府により
庶民に強い影響力があった牛頭天王は徹底的に叩かれ
八坂神社・祇園神社・津島神社・八雲神社・須賀神社・須佐神社・素戔嗚神社
などに改称させられ、表向きの痕跡は抹消された
江戸時代、「てんのう」といえば、牛頭天王のことであり
皇国日本を統べる、万世一系の「天皇」のことではなかった
王政復古により、
「禁裏様」「内裏様」と読んでいた人物を「天皇」と呼ばせるようにし
現人神としての天皇信仰を布教しようと考えた明治政府の神道家にとって
牛頭天王は紛らわしい邪神で目障りだった
よって、廃仏毀釈運動で特に名指しで攻撃され、表舞台から消去された
しかし、庶民の長年の信仰を完全に無くすことはできず
全国各地に牛頭天王の信仰は形や名前を変えて残っている
ジャングル奥地の開発、温暖化による永久凍土の融解などにより
未知のウイルスが人類を脅かし、パンデミックに恐れる時代
今こそ、最強の疫病制御の神 牛頭天王の復活を渇望する!
うまいもんドットコムは牛頭天王の研究者である、
高崎経済大学講師の鈴木耕太郎先生に、牛頭天王のコラム連載をお願いしました。
コラム連載の著者略歴
鈴木耕太郎
1981年生まれ。群馬県 旧勢多郡大胡町(現・前橋市)出身。
立命館大学文学部、同大学院文学研究科修了。博士(文学)。
専門は国文学(特に中世神話研究)・宗教民俗学。
卒業論文時より一貫して牛頭天王信仰に関連するテキストの分析を研究テーマに据えている。
日本学術振興会特別研究員(DC)・京都西山高校国語科非常勤講師・京都西山短大非常勤講師を経て、2018年より公立大学法人 高崎経済大学 地域政策学部 講師。
近著に『牛頭天王信仰の中世』(法藏館、2019年7月)がある。