中国では誕生日に「長寿麺」を食べる風習があります。
長い人生を送れるように願いをこめて
なが~い1本の麺を頑張ってすするのだそうです。
日本で例えるなら、
年末に年越し蕎麦を食べる風習と似ています。
先日、主人が誕生日だったので
せっかくだからと、長寿麺を食べに出かけました。
お誕生日の主役を、“寿星”と中国では呼びます。
証明できるものをというので、パスポートを持参。
それもそのはず、誕生日当日だと分かると、
5元ほど(約85円)と特別価格になりました。
運ばれてくるとまず、器が「大きい!」
具も色とりどりです。
中国らしさを感じる陶器の器でろうそくで温めながら出てきます。
麺は、中国では縁起が良いとされる長い1本もの。
作り方や量によって長さは変わりますが、平均して50メートル程だそうです。
1本麺は、ひとつの麺生地を
包丁などは使わず、指で長く細く延ばし、切れないよう鍋で茹で上げます。
一本麺(一根麺)は山西省の四大麺の一つで
本場では手延べしながら茹でていくそうですが、
広州のお店は今風にささっと完成形の生麺を
おばちゃんが慣れた手つきで茹でていました。
(中国の達人的な音楽が私の中で流れました♪)
中国では色んな形の麺があって面白いです。
地域の料理によって形が違うので、食の文化も全く違うことが分かります。
それにしても、食べるまで時間がかかりました。
1本ものだから、端を探せないのです。
見つけても、1本をずずずっとすすっていると日が暮れそうなので、
私たち日本人はずずずーっと一気にやってしまいました・・・。
近くに現地人のお手本がいなかったので見よう見まねが出来なかったのが残念。
~~長寿麺の由来は「仙人」の昔話からくるようです~~
はるか昔、彭祖(ほうそ)という仙人がおりました。
彼は養生術にたけ、800歳以上も生きたとされています。
漢の武帝の時代、君臣たちが政治の仕事が終わって一休みしていると、
そのうちの一人が「顔が長いと長寿になる」と言いはじめます。
そうすると別の一人が「いや、人中(鼻の下の部分)が長いと長寿なのだ」と言います。
そこで大臣の東方朔は「人中が長いほど長寿なら、800歳まで生きた彭祖の顔は、
どのくらい長かったのだろう!」と言い、皆で大笑いしたそうです。
この話が民間に伝わり、「顔が長いと長寿」から「面が長いと長寿」となり、
面=麺となり、誕生日に長寿を願って麺を食べる習慣が出来上がっていったそうです。
確かに仙人は顔が長いイメージがあります。
七福神の「福禄寿」も顔が長いですね。
福禄寿と同一神といわれる寿老人も中国では伝説上の人物で
南極老人星(カノープス)の化身とされるため、
中国では誕生日の主役を「寿星」と呼ぶのだそうです。
言葉や文化の意味合いを調べると、
昔話がかなり密接に、現代にも風習として残っていることが分かります。
ん~~奥が深い。