食文化スタッフの平野です。
これほど煮込むほどに濃く味わいが深まる魚に出会えたことに感謝です!
今回の食事会のメイン食材はなんと。
4.8kgにもなるメヌケ!
40cmを超える魚体に鮮やかな真っ赤な色。
何より特徴的なのが名前の由来でもある目が飛び出ている姿です。
(深海からの水圧差で目が抜け、転じてメヌケだそうです。)
この魚、大きく立派なだけあって捌くのも一苦労。
骨太の背骨は簡単には切り離せません。
しかし、この力強さが旨みになって現れます!
まずは昆布だしをベースに、安土信長葱という極太葱をはじめ
白菜やシイタケと野菜の旨みを加えシンプルに塩で『メヌケ鍋』。
メヌケの腹がわはぷるっぷるに対し、背側の身は力強い弾力!
一匹の魚の部位でここまで違うのは大きな魚だからこそです。
あまりのメヌケのインパクトに霞みつつありましたが野菜も大好評。
野菜は私とスタッフ天谷で用意しました。
あさつきの酢味噌添えに始まり、塩煎りぎんなん、
国産しいたけの鍋に使った余りの石づきをじっくり焼きあげたもの。
かみしめると旨みがあふれます。
なんと言っても美味しかったのが「芽キャベツの素揚げ」。
水を切ってそのまま揚げるだけで、緑いろが鮮やかに深まり
生では感じられなかった甘みが、ぐっと引き出されます。
そして、肝心のメヌケ鍋ですが、煮込む時間が進むほどに味わいが濃く深く変化。
最初はあっさりめでしたが、骨やアラからのダシがスープに染み渡っていきます。
1度目、2度目、杯を進むごとに強まる旨みにスタッフ一同驚きました!
そして、メヌケ最後の一品が酒と塩だけの兜煮。2時間以上は煮込んだでしょうか。
スープはうっすら白から黄金色に変化し、旨みを伴って脂も浮き出ています。
今回は調理担当でしたので、こっそり先に口にしたのですが、
これがまた思わず笑みがこぼれるほど!もちろん食事会のメンバー全員が絶賛の嵐でした。
締めには、鍋と兜煮のスープをもとに雑炊へ。
これがまた、メヌケの持つ旨みの強さにおもわず絶句。
一匹でこれほど楽しめる魚に出会えたことに感謝です。
最後にお口の整理に出したのが高知の土佐文旦。
爽やかな香りに、粒がはじける食感。心地よい酸味にほどよい優しい甘みが上品に〆てくれました。